ヴィヨンの妻 太宰治

ヴィヨンの妻 (新潮文庫)

ヴィヨンの妻 (新潮文庫)

幸せな家庭がありながら酒や女に溺れた夫の単純じゃない苦しみや、それを知りながら気を遣っている妻みたいな話が結構あったように思う。
印象に残っている『おさん』はまさにこれで、『ヴィヨンの妻』はこんな感じだったけれど、主人公である妻はわりとポジティブで最後の方では知らない男とわりとあっさり寝てた。
簡単だけども、太宰治は本当にぶれないなあと感じる。(まだ少ししか読んでないけれど)
解説に

太宰の異常な死そのものに結びつけて、直ちに作品を評価するのはまちがっている。これらの作品は「私小説」ともいえるが、太宰は虚構の名人である。空想力の実に豊かな作家である。

とあった。
そうなのか。
何も知らないで読んでいた自分は新しい見方を授かったように感じた。これからはもっと面白く太宰を読めるんじゃないかなと思った。